ディープラーニングによるパターン認識の技術の一つに,「ディープ畳み込みニューラルネットワーク(DCNN: Deep Convolutional Neural-Network)」があります.これが画像を対象とした様々な問題で驚くべき性能を示した(*5)ことが注目されました.先に述べたように,パターン認識を行うシステムの性能はどのような特徴量や識別器を使うかによって異なります.CADを含めた画像におけるパターン認識の問題の場合,どのような特徴量を医用画像から抽出するか,といった点が研究の大きな焦点の一つでした.例えば,医師が診断の根拠としているのは領域の丸さや面積,画像上の濃淡といったものですが,これらを数値化して特徴量として識別器に学習させていました.しかし,DCNNでは画像の中の対象となる範囲すべての画素の値を直接ニューラルネットワークに入力します.つまり,特徴量は画素の値そのもの,あるいはニューラルネットワークの中で画素の値から自動的に計算されることになるのです.一方,CNN自体が識別器も含んでいます.よって,実際にはネットワークの層の数や構造などの調整は必要ですが,入力と出力さえ与えてやれば高性能なシステムが実現できることになり,実際に成果を上げつつあるのが現状です.