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STEP-2:講演会
2023年3月18日 開催(オンライン)

最先端の医工学の研究・開発の動向について学べます.

講演内容詳細は随時更新していきます.

講演1

マイクロマシン技術による生体情報計測

長谷川 義大 先生

広島市立大学 情報科学部医用情報科学科 講師

皆さんは、普段当たり前のように使っているスマートフォンやゲーム機器がどのようにして画面の向きやコントローラの動きを検知して、画面を回転させたり、画面の中のプレイヤーの視点を動かしたりできているか考えたことはありますか?実は、これらの機器の中には、機器の動きを検出することができる小さな“センサ”が入っています。この小さなセンサを作る技術をマイクロマシン技術(MEMS技術)といいます。マイクロメートル(1マイクロメートルは10-3ミリメートル)サイズの加工が施された構造体を作る技術によって、機器の動き(加速度や角速度(傾き))を検出するためのセンサを機器内の限られたスペースに収めることのできる大きさで実現できています。 我々はこのマイクロマシン技術を医用に応用し、ヒトの生体情報を取得することができるセンサの開発に取り組んでいます。具体的には、口元での呼吸による空気の流れを計測することができる小型の流量センサを開発し、それを用いて呼吸情報ならびに呼吸の中に含まれる生体のバイタルサイン(呼吸、心拍、体温)情報の取得が可能なマルチバイタルサイン計測センサの開発を行っています。本講演では、高校生でも理解できるようにマイクロマシン技術の基礎的な内容から、医用へ応用した研究までを紹介したいと思います。

*MEMS: Micro Electro Mechanical Systems



広島市立大学 医用情報科学科の紹介は こちら

講演2

No operation, no Robot assisted surgical system (daVinci, Hinotori)

江原 伸 先生

広島市立広島市民病院 医師    

外科的手術において、内視鏡で体内を映したモニターを確認しながら、体内で行う腹腔鏡手術が主流となっています。開腹手術と比較して切開する範囲が小さいことから、傷が小さく、術後の痛みの少なく、回復が早く、早期に社会復帰できることが期待されます。肺がん・胃がん・前立腺がんをはじめ、様々な悪性腫瘍に対して行われ、また盲腸炎や子宮筋腫などの良性疾患にも標準治療として行われています。これら腹腔鏡手術をより進化させたのが内視鏡手術支援ロボットです。1980年代にアメリカで開発が開始され1999年にDa Vinciが完成、2000年にアメリカ食品医薬品局(FDA)に承認されました。日本では2009年に厚生労働省薬事・食品衛生審議会で承認され、2012年4月に前立腺癌の全摘出術で保険収載されました。内視鏡手術支援ロボットのメリットは、①高性能3次元画像による視野拡大、②手の震えを吸収し、術者とアームの動きを調整する機能、③人の手を凌駕する多関節を持つ鉗子などにより、より精度の高い手術ができ、患者さんの合併症が減り、医師の負担が軽減することが挙げられます。現在では食道がん、胃がん、大腸がん、膵臓がん、肝臓がん、腎がん、膀胱がん、弁膜症などにも保険適応となり、急速に普及しています。日本では2013年から川崎重工業と医療機器メーカーが共同で開発し、2021年に国産初の手術支援ロボットHinotoriが完成し、2022年から保険適応となりました。今後の展望として、Hinotoriでは操作ユニットと手術ユニットをネットワーク接続によって行う遠隔操作が検討されています。地方における医師不足や病院不足、先進医療機器の導入の遅れによる医療格差問題の解消に寄与することが期待されています。



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