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STEP-2:講演会
2021年3月27日 開催(オンライン)
最先端の医工学の研究・開発の動向について学べます.
講演1
体内の流れを数学で見る・視る・診る 〜コンピュータによる血流シミュレーション〜
水藤 寛 先生
東北大学
材料科学高等研究所 (WPI-AIMR) 副所長/教授
血液の流れや脳脊髄液の流れなど、体内の様々な流れは生体の活動に重要な役割を果たしています。特に心血管系の病気の場合は、血液の流れが滞っているところや血管壁に及ぼす力が大きいところを知ることは、予後予測に重要な役割を果たします。また近年では手術の前の検討の一環としていくつかの術後形状を想定した比較シミュレーションなども行われ、治療・手術方針の決定に関わるようになってきています。
図は、血管の一部が大きく膨らんでしまう大動脈瘤という病気の形状を用いて、血流シミュレーションを実施した例です。色の付いた線は流線と呼ばれ、流れの方向を示しています。赤は流れの早いところ、青は遅いところを表しています。この図を見ると、動脈瘤の中で渦が出来ていることの他に、その前後で血管が大きく曲がったり捩れたりしている部分で非常に複雑な流れができていることが観察できます。実際にはこれらの流れによって、強い力が血管壁面にかかり、血管の変形や変性の原因になっていることがわかります。我々は、このような結果から、個人差の大きな血管形状がどのような仕組みで病態の違いにつながってきているのかを調べています。
血流のシミュレーションとは、CTやMRIなどから得られる臓器の形状を用いて、紙と鉛筆では解くことの出来ない連立偏微分方程式をコンピュータの力を借りて解くことです。この講演では、そこに現れる様々な数学的ツールを紹介し、高校から大学初年級の数学がそこにどのように関わっているのかをご紹介します。
大動脈瘤の血流シミュレーション(図をクリックすると動画が流れます)
参考HP:
JST-CREST「臨床医療における数理モデリングの新たな展開」
東北大学 材料科学高等研究所 の紹介は こちら
講演2
ヘビ型ロボットと医療ロボット,どこが違うのか?
亀川 哲志 先生
岡山大学
大学院ヘルスシステム統合科学研究科 准教授
私はこれまでにいろいろなロボットの研究開発をしてきましたが,本講演では特に2つのロボットを紹介しますので,2つのロボットの研究開発の共通点と違いを感じてもらえればと思います.
1つは生物の蛇をまねて工学的に応用しようとしているヘビ型ロボットです.手足のない一本のひもの様な単純な形態でありながら複雑な環境を移動して生息する蛇をまねることができれば,いろいろな場面で活躍するロボットとして応用することが期待できます.また.ヘビ型ロボット開発することで,生物の行動原理を解明する研究もできると考えています.これまでの研究で,3次元空間を運動するヘビ型ロボットのプロトタイプを製作し,その冗長性を生かして多様な形態での移動が可能であることを実証してきました.特に最近では,国のプロジェクトにも参画し,ヘビ型ロボットの社会実装に向けた取り組みにも注力しています.
もう1つは,医工連携プロジェクトで私がこれまでに開発してきた医療ロボットです.近年では,医療用に作られた専用の針を刺すだけでがんの検査や治療をする手技が広く行われるようになってきました.従来の手術に比べ,針の通るだけの傷で済みますので,患者さんへの負担も小さく非常に有用です.この手技の特徴は,針を体に刺す(穿刺する)場合に,危険な臓器に針がささらないように,CTで体の中を透視して,針とその周囲の状況を確認しながら穿刺を行うことです.これにより,安全で正確な針穿刺を行うことができますが,放射線科の医師が日常的にCTのX線で被ばくをするという大きな問題があります.この問題を解決するため,ロボットを遠隔操作して針穿刺を行うシステムを2012年から開発しています. 2018年には,岡山大学病院で実際の患者さんに対してこのロボットを使う臨床試験を達成するまでに至っています.
ヘビ型ロボット
医療ロボット
岡山大学 大学院ヘルスシステム統合科学研究科 の紹介は こちら
講演3
医薬品設計に向けた生体高分子シミュレーション
齋藤 徹 先生
広島市立大学
情報科学部 医用情報科学科 講師
高校生、大学生のみなさんは、DNAやタンパク質などの生体高分子が関連する分野として、生物もしくは化学を真っ先に思い浮かべるかと思いますが、物理や数学を使った研究もあります。高校化学では、生体高分子に限らず分子は原子からなり、原子は正電荷を持つ重い原子核と負電荷を持つ軽い電子からできていることを習います。そこで、生体高分子全体から一つ一つの電子に視点を移します。電子の動きが高校物理で出てくる運動エネルギーとクーロン相互作用といった数式化された物理法則に従うことを考えれば、分子の動きや状態の変化も同じように数式で表されることに納得がいくと思います。数式に基づいて生命現象を扱う方法は生体高分子シミュレーションと呼ばれています。
医薬品合成に用いる実験器具といえばフラスコや試験管などが定番ですが、生体高分子シミュレーションではコンピュータが実験器具です。コンピュータを使えば、非常に複雑な数式を解くことができるほか、どのような化学変化が起こるのかをまるで目で見ているかのように観察できます。まだ存在しない分子であってもコンピュータ上で設計し、その性質を予測することも可能です。こうした理由から医薬品をはじめとする新しい機能性材料の設計において、生体高分子シミュレーションは広く用いられています。
本講演では、高校生でも十分理解できるような基礎的な内容から説明を行い、私が取り組んでいるDNA損傷、薬物代謝部位予測に関する研究について紹介したいと思います。
生体高分子シミュレーションによる医薬品探索
広島市立大学 情報科学部 医用情報科学科 の紹介は こちら