TUTORIAL3:

クラス3

日本発の創薬支援ソフトmyPrestoを使ってみよう!


・内容

本チュートリアルでは計算機上で,タンパク質と低分子化合物を扱います.ナノメートル・スケールの世界です.(ナノメートルは,10のマイナス9乗メートル)
たとえば,インフルエンザ治療薬として知られているタミフルも低分子化合物です.タミフルは,インフルエンザ・ウィルスのノイラミニダーゼというタンパク質に結合し,ノイラミニダーゼの働きを阻害することによって,インフルエンザ・ウィルスの増殖を抑制します.このように,タンパク質に結合する低分子化合物は薬の候補となります.


本チュートリアルでは,タンパク質と低分子化合物とのドッキングシミュレーションと,薬剤候補化合物スクリーニング計算の手順について実習します.

計算機には,Microsoftのクラウド・コンピューティング・プラットフォームAzureに用意した計算機をインターネット経由で使い,ソフトウェアにはMolDeskを使用する予定です.MolDeskは,myPrestoのプログラムをユーザーフレンドリーに実行できるように株式会社情報数理バイオが開発した有料のGUIソフトウェアです.myPrestoは,経済産業省,NEDO及びAMEDからの委託プロジェクトの中で開発された医薬品開発支援の分子シミュレーションシステムで,無料で利用でき,国内30社で使われています.myPrestoを利用すると,購入可能な200万化合物を対象としたスクリーニング計算が比較的簡単に実行できます.myPrestoのプログラムは,Linux OS上でコマンドを使って実行するのが典型的な利用方法です.myPrestoのプログラムは,スパコン,計算機クラスター,クラウドコンピューター等,多様な計算機環境で利用できますが,利用する計算機環境に依存して,ソースコードを一部修正する必要がある場合があります.

  myPrestoの紹介ページ
  myPrestoのダウンロードページ
  MolDeskのwebページ

・対象者

タンパク質と低分子化合物とのドッキングシミュレーション,薬剤候補化合物のスクリーニング計算に興味がある方が主な対象です.

・準備・参考となる情報

前日(8/26)の講演3「コンピューターを使った医薬品の分子探索と設計の基礎」は,myPrestoの開発者である福西快文先生(産総研)の講演であり,本チュートリアルで行う計算に関係する内容なので,受講することをお勧めします.